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凍解氷釈 12

自分的に七転八倒しました。



拍手[2回]


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凍解氷釈 12






子供たちが去って消灯時間も過ぎたせいですっかり静かになった病室に氷室が戻ると、アレックスの明るい笑顔が出迎えた。
彼女からの挨拶のようなハグとキスは子供の頃から慣れ親しんだもの。
それでも離した唇にもう一度軽く触れさせるのは、恋人ならではの甘い仕草。
やはり、いつもとは何もかもが違う。氷室は離れかけたアレックスをもう一度腕の中に閉じ込めた。「そんなに寂しかったか?」と楽しそうにアレックスがからからと笑い声をあげる。
まるでずっとそうしてきたかのように。



「リサはあんなに可愛いのに病気だなんてかわいそうだ」
アレックスは本当に気の毒そうに呟いた。
「そうだね。入院生活に不便だから髪も伸ばせないって女の子には辛いだろうね」
「明日は張り切って歌ってやらないといけないな!」
意気込むアレックスに氷室は笑った。アメリカで彼女のコーチ業を手伝っていたころ、子供たちを喜ばせるのが大好きなアレックスの悪戯によく付き合わされたものだった。
「ホントにアレックスは子供が好きだね」
「うん、子供は皆可愛いよ。どの子もキラキラしてて大好きだ」
子供たちを思い浮かべているらしい笑顔がそう言うのを、氷室は黙って頷き見つめた。
バスケを教えるときも、いつも彼女は子供たちを厳しく指導しながらも、眩しそうに愛おしそうに彼らを見つめていた。あの眼差しをずっと自分も向けられていて、それがいつも嬉しくて幸せで少し切なかった。その等しく優しい暖かな視線では、満足することができなかった。そして年月が流れ、理由の分からなかったその切なさにいつしか恋という名前がついていたのだ。
「さ、寝る準備しないとね」
振り切るように、氷室は立ち上がって来客用のソファーベッドをセッティングし始めた。
「あれ?タツヤ、一緒に寝ないのか?」
「寝ないよ。何度も言うけど、ここは病院だよ」
「二人だけだし気にしなくていいんじゃないか?」
「気にしないとダメ。夜巡回に来た看護婦さんに俺が追い出されちゃうよ」
「ダメか、残念」
くすくす笑うアレックスの声に含まれる誘うような響きに、自ずと頬が熱を帯びる。こんな風に笑われたら、もし今自分が本物の恋人だったら開き直って一緒に寝てしまうに違いないと思い、氷室は大きく息を吐いた。
「タツヤ」
「ん?」
「今日…本当だったら…今頃どこにいたのかな」
ぼんやりとした口調で呟いたアレックスの表情を見て、氷室は思わずクスッと笑った。
夕食後に飲んだ薬のせいだろうけれど、アレックスがひどく眠そうな顔をしていたから。
「アレックス…とりあえず横になりなよ」
「嫌だ、まだ起きていられる」
「君は24歳だって聞いたけど、4歳の間違いだったっけ?」
「からかうなよタツヤ」
むーっと唇を尖らせるアレックスに、氷室はくすくす笑いながら近づいて髪を撫でた。拗ねた子供のような表情を見せられて、笑いを堪えきれない。
「もー!笑うな」
「ごめんごめん。君が子供みたいなこと言うからだよ。夕食の時に看護婦さんから説明されただろ?薬飲んだら眠くなるって」
睨んでくる目線も既知のものよりずっと甘くて、あやすような口調になってしまう。腕の中に抱き込めば、甘えるように体重をかけてきたアレックスが眠そうに瞬きをしながらも氷室を見上げた。
「でももう少し起きていたいんだ」
「ふふ、好きなだけ起きてればいいよ」
そう長くこの瞼を持ち上げ続けられるとはとても思えず、氷室は目尻に笑みを刻む。
「うん。…タツヤは温かいな」
猫がソファの上でするようにもぞもぞと動いて、安定する位置を見つけたらしいアレックスが目を細めた。
「アレックスもあったかいよ?」
眠気のせいだろう、指先まで温かくなっている。
「そ…うかな?」
「明日は雪が降るかもしれないらしいよ」
額から髪を梳くように撫でてゆけば、少しずつ目を閉じている時間が長くなってゆく。白いシーツの上で金糸がさらさらと流れていった。
「雪か…楽しみ…だ…」
ふにゃりと笑うアレックスの言葉尻が寝息に消えゆくのを、氷室は微笑みながら見守った。
柔らかな表情で眠りについたアレックスの顔を、氷室は静かにただ見つめる。
少なくとも、自分が病院にかけつけた時の苦しげな寝顔に比べれば、数段穏やかに眠っているように氷室の目には映った。
「おやすみアレックス。…and merry christmas」
小声で囁いて。
氷室はそっとアレックスをベッドに横たえると、物音をたてないように注意しながら病室を後にした。



















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書いてる途中で今日(クリスマスイブ)はもうイベントつめこみすぎたから、これ以上ぶっこむのはやめようと思い立ち、ひとつ山場を先送りにしていたら逆に時間かかったっていう・・・


ていうかもうバカップル爆発しろー
・・・なんかもう書いてて恥ずかしかった。なにあれ?
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たが
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自己紹介:
黒バスのアレックス中心に、アレックスの幸せを模索しようと考えます。アメリカ組かわゆー! 陽泉さん誠凛さんも好き。みんな幸せになると良いです。

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