【うき身をばわれだに厭う 厭へただそをだにおなじ心と思はむ】
タツヤから送られてきた誕生日祝いに添えられていたカードには、誕生日を祝う英文の最後に 難しい日本語が並んでいた。
平仮名ならなんとか読めるが、漢字交じりでしかも昔の言葉のようで正直お手上げだ。しかし師匠として尋ねるのも癪だ。
大学時代の恩師にこの日本語の意味を尋ねたら、教授は「相変わらずモテるんだね」と言って笑った。
「は?その手紙は愛弟子に貰ったものですが?」
そう言うと、教授は「彼の気持ちを思えば僕は意味を教えてあげられない」と片目をつぶった。
…なあタツヤ、この文字には一体どんな愛が籠もってるんだ?
--------------------------------------------------
ちなみに藤原俊成が詠んだ和歌です。新古今和歌集のうた。
意味は「ふがいない自分が嫌だ。君も俺を愛することができないなら、 せめて嫌ってくれないか。 その嫌うって感情だけでも君と一緒になりたいんだ」みたいな感じ。
氷室さんらしいなーって思って選びました。
重たくって面倒くさい、そんな氷室さんの愛(笑)